「特定技能で外国人ドライバーを採用したい。ただ、結局いくらかかるのかが分からない」
自動車運送業の受入れ企業から、もっとも多くいただくご相談です。人材紹介会社のサイトを見ても「1人あたり◯万円〜」としか書かれておらず、入社までに実際いくら出ていくのかが見えません。
この記事では、特定技能「自動車運送業」トラック区分でドライバーを1名採用し、中型トラックで稼働を開始するまでにかかる費用を、費目ごとに積み上げて公開します。あわせて、期間の目安と、見積書には出てこないコストについても解説します。
結論:1名あたりの総額は約100万〜183万円
先に全体像です。採用活動の開始から就業1年目までにかかる直接費用を、3つのケースで示します。
ケース2とケース3の差は約20万円です。送り出し機関手数料の有無と、外免切替の再受験・来日後の技能講習にかかる費用の違いから生まれています。
そして、この表に出てこないコストがもうひとつあります。中型トラックで走れるようになるまでの人件費です。直接費用と同じ規模、場合によってはそれを上回ります。記事の後半で解説します。
金額は2026年7月時点の一般的な市場相場に基づく概算です。人材紹介会社・登録支援機関・行政書士事務所の料金体系、採用人数、地域、為替によって変動します。
前提:トラック区分の免許要件は「第一種運転免許」です
費用の内訳に入る前に、コスト設計の前提になる制度の話をひとつ整理します。
自動車運送業分野の運用方針(告示)が定めるトラック区分の技能要件は、「自動車運送業分野特定技能1号評価試験(トラック)及び第一種運転免許」です。車種の限定はなく、普通第一種免許でも制度上は特定技能1号に移行できます。
ただし現場が求めるのは中型トラックを運転できるドライバーです。普通免許だけでは稼働できないケースがほとんどのため、実務では「外免切替で普通第一種を取得 → 中型免許を取得」という2段構えになります。
中型免許の受験資格は「20歳以上」かつ「普通免許等の保有が通算2年以上」です。外免切替の場合、母国で運転免許を取得してからの経歴が通算されるため、現地で2年以上の運転歴があれば外免切替の直後から中型の教習に進めます。採用選考の段階で、母国の免許証に記載された取得年月日を必ず確認してください。
参考:3区分の要件
タクシー・バス区分では、上記に加えて受入企業による新任運転者研修の実施が必要です。自動車運送業分野の受入れ見込数は5年間で最大24,500人、トラック運送業の人手不足推計は5年後で約19万9,000人とされています。
費用は4つのフェーズで発生します
- 採用フェーズ:人材紹介手数料、送り出し機関手数料、渡航費、健康診断
- 教育・免許フェーズ:評価試験と日本語試験の対策、外免切替の学科・実技対策と実費、中型免許の教習
- 申請フェーズ:在留資格申請の代行費用、収入印紙、協議会加入
- 入社後のランニング:支援委託費、住居関連、在留期間更新
金額のブレがもっとも大きいのは1番目の人材紹介手数料、期間のブレがもっとも大きいのは2番目の免許取得です。
費目別の相場一覧
1. 採用フェーズ
2. 教育・免許フェーズ
外免切替の改正内容と手続きの詳細は、関連記事「【2025年10月改正対応】外国人材に日本の自動車免許を取得させるには?」で解説しています。
3. 申請フェーズ
受入企業側にも要件があります。道路運送法上の自動車運送事業者であること、「運転者職場環境良好度認証制度(働きやすい職場認証)」または「安全性優良事業所(Gマーク)」のいずれかを保有していること、協議会の構成員となることの3点です。認証の取得には時間がかかるため、採用を検討し始めた時点で自社の状況を確認してください。
4. 入社後のランニングコスト
ケース別の積み上げ
ケース1:国内在住・日本の中型免許あり
免許取得のフェーズが丸ごと不要になるため、もっとも安く、もっとも早く戦力になります。ただし「日本の中型免許を持ち、評価試験に合格していて、いま転職を考えている外国人」という条件が重なるため、母集団は極めて小さくなります。見つかれば最優先で採用すべきですが、採用計画の主軸には据えにくいのが実情です。
ケース2:海外呼び寄せ(送り出し機関を経由)
現地の送り出し機関から紹介を受け、来日してから免許取得を進めるパターンです。もっとも一般的なスキームですが、送り出し機関手数料が発生し、外免切替の再受験や来日後の技能講習の費用も上振れしやすくなります。
ケース3:海外呼び寄せ(直接募集・入国前教育あり)
送り出し機関を挟まず自社媒体で直接募集し、入国前に学科・実技の対策を終えてから呼び寄せるパターンです。紹介手数料は高めですが、送り出し機関手数料が発生せず、再受験と来日後の講習も抑えられるため、総額は下がります。
複数名を同時に採用する場合
1人あたりの単価は下がります。主な逓減要素は次のとおりです。
- 在留資格申請:2人目以降を1〜3割程度割り引く事務所が多く見られます
- 寮:1部屋に複数名で入居する場合、1人あたりの初期費用が下がります
- 研修・オリエンテーション:まとめて実施できるため、社内工数が分散します
- 支援委託費:人数に応じたボリュームディスカウントを設定している登録支援機関があります
一方で、人材紹介手数料・渡航費・試験関連費・免許関連費は人数に比例します。ケース3で5名を採用する場合、単純合計は約813万円ですが、上記の逓減を織り込むと700万〜760万円程度が現実的な着地です。
期間の目安
海外から呼び寄せる場合、採用活動の開始から中型トラックで稼働を開始するまでの工程は次のとおりです。
入社後の免許取得にかかる期間は、人材の運転経歴、日本語能力、入国前の準備状況、そして地域の免許センターの予約状況によって大きく変わります。ここを短縮する方法は記事の後半でご紹介します。
特定活動の在留期間は上限6か月です。この期間内に日本の運転免許を取得できなければ、本人は帰国することになります。2025年10月の外免切替の厳格化により、この6か月はこれまで以上にタイトになっています。
見積書に出てこないコスト:中型で走れるようになるまでの人件費
入社から中型免許の取得までの間、本人は中型トラックを運転できません。特定活動の期間中は、ドライバーが通常従事する業務のうち「運転免許を必要としない業務」(荷役、車両点検、倉庫内作業など)に就いてもらうことになります。
月給25万円、社会保険料の会社負担を含めて月29万円と仮定すると、免許取得までの期間に応じて次の人件費が発生します。
免許取得を1か月早められれば、約29万円のコスト削減に相当します。紹介手数料の数万円の差より、こちらのほうがはるかに大きく効いてきます。
さらに、6か月以内に日本の運転免許を取得できなければ本人は帰国することになり、それまでに投じた初期費用と人件費、あわせて約300万円以上が回収不能になります。
紹介手数料に返金規定があっても、人件費と渡航費は戻りません。だからこそ、契約前に次の3点を確認してください。
- 免許を取得できなかった場合の返金規定の有無と、その範囲
- 外免切替(技能確認)の合格実績が、どの国籍で、どの程度あるか
- 入国前教育の具体的な中身(時間数、教材、実車練習の有無、日本の試験を再現した環境かどうか)
どこまで本人に負担させられるか
特定技能では、本人に負担させてはならない費目が明確に決まっています。
費用負担の設計は労働基準法と出入国管理法の双方に関わります。実際の制度設計にあたっては、社会保険労務士・弁護士・行政書士など専門家にご相談ください。ここでの記載は一般的な情報の提示にとどまります。
Factory labの受入れ設計
ここまでの整理から言えるのは、費用と期間を左右しているのは「入国前にどこまで仕上げてから呼び寄せるか」だということです。Factory labは、その一点に絞って受入れの設計を組み立てています。
① 左側通行の国から採る
外免切替の技能確認で外国人材がもっともつまずくのは、左側通行と右ハンドルです。2025年10月の改正で横断歩道の通過などの課題が追加され、審査基準も厳格化されたため、この壁はさらに高くなりました。
Factory labが中心に扱うタイとインドネシアは、いずれも日本と同じ左側通行・右ハンドルの国です。運転感覚をゼロから作り直す必要がないぶん、技能確認の合格率とスケジュールの読みやすさが変わります。
知識確認・技能確認が免除される29か国等に、特定技能の主要な送出国は含まれていません。つまり、どの国から採っても技能確認は必ず受けることになります。だからこそ、運転環境が日本と一致しているかどうかが効いてきます。
② 送り出し機関を挟まない直接募集
送り出し機関を経由するスキームでは、企業側に手数料が発生するだけでなく、求職者本人も現地で手数料を負担することがあります。本人が借金を抱えて来日する構造は、失踪や早期離職の温床として長く問題視されてきました。
Factory labはタイに現地法人を持ち、SNS(Facebook、TikTok、LINE公式)と自社サイトを通じて直接募集を行っています。約22,000人の日本語人材のネットワークから、要件を満たす人材をスクリーニングしてご提案します。
仲介を挟まないため、企業にとっては手数料の削減、人材にとっては金銭負担の解消になります。
③ 元技能実習生を軸に据える
ご提案する人材の多くは、日本で3〜5年就労した経験のある元技能実習生です。日本語能力と日本の生活習慣・職場文化の理解がすでにあり、日本語要件(N4以上)をクリアしている人材も少なくありません。生活支援の負担と定着リスクの両方が下がります。
また、母国での運転経歴は中型免許の受験資格(通算2年以上)にそのまま通算されます。免許の取得年月日と運転歴は、スクリーニングの段階で必ず確認しています。
④ 入国前に学科と実技を仕上げる
COEの審査を待っている3〜4.5か月を、そのまま教育期間として使います。
- 学科:外免切替試験・仮免学科試験の過去問と市販問題集を母国語に翻訳し、週3回のオンライン演習で2,000問以上を反復します。試験会場で提供される翻訳が機械翻訳品質であることを想定した対策まで行います。
- 実技:現地の自動車学校でマニュアル車を使い、坂道発進や日本の道路標識を再現した環境で練習します。日本の自動車学校の協力を得た車載カメラ視点の対策教材で、試験のチェックポイントを渡航前に体得します。
- 試験対策:特定技能1号評価試験(トラック)と日本語試験は、オリジナルのオンラインコースで渡航前に合格まで導きます。来日後のスケジュールを免許取得だけに集中させられます。
支援事例:入社後3か月で中型ドライバーとして稼働
この設計で受け入れを支援した事例では、次のスケジュールで進みました。
- 入社後 約1か月:外免切替で普通第一種免許を取得
- 入社後 約3か月:中型免許を取得し、中型ドライバーとして稼働開始
特定活動の在留期間は6か月ですが、入社後1か月の時点で「日本の運転免許を取得」という要件をクリアできています。残り5か月の余裕を持って特定技能へ移行し、その間に中型の教習を進められました。
上記は1名の受け入れ事例です。人材の運転経歴、日本語能力、地域の免許センターの予約状況によって期間は前後します。
Factory labは2022年のサービス開始以来、外国人材の紹介累計241名、特定技能人材の支援136名、支援社数62社の実績があります(2025年6月時点)。有料職業紹介事業、労働者派遣事業、登録支援機関の許認可を保有し、募集から在留資格の申請、入社後の支援業務までワンストップで対応しています。
よくある質問
Q. 結局、いくら用意しておけばよいですか?
A. 海外呼び寄せの場合、初期費用として130万〜155万円、初年度のランニングとして30万円前後を見込んでください。これに加えて、中型で稼働できるようになるまでの人件費(3か月なら約87万円、6か月なら約174万円)を別枠で見込む必要があります。
Q. 国内在住者だけで採用計画を組むことはできますか?
A. 現実的ではありません。「日本の中型免許を持ち、評価試験に合格していて、転職を検討している外国人」は母集団が極めて小さいためです。国内在住者は見つかれば最優先で採用し、計画の主軸は海外呼び寄せに置くのが実務的です。
Q. 中型免許の受験資格を満たしているか、どう確認すればよいですか?
A. 20歳以上であること、普通免許等の保有が通算2年以上あることが要件です。外免切替の場合、母国で免許を取得してからの経歴が通算されるため、現地で2年以上の運転歴があれば外免切替の直後から中型の教習に進めます。採用選考の段階で、母国の免許証に記載された取得年月日を必ず確認してください。
Q. 人材紹介手数料が高い会社のほうが、結果的に安く済むことがあるのですか?
A. 入国前教育が含まれている場合はありえます。この記事のケース2とケース3では、紹介手数料はケース3のほうが5万円高いにもかかわらず、直接費用の合計は約20万円下がります。さらに免許取得が早まれば、稼働できない期間の人件費も圧縮できます。金額だけでなく、含まれる範囲で比較してください。
Q. 支援委託費を本人の給与から差し引くことはできますか?
A. できません。義務的支援に要する費用は、直接・間接を問わず本人に負担させることが認められていません。一方で、在留資格の申請手数料(収入印紙)や試験の受験料は、本人負担が可能です。
Q. 技能実習や育成就労で採用することはできますか?
A. 自動車運送業は技能実習の対象職種ではなく、2027年4月に施行される育成就労制度でも対象分野に設定されていないとされています。トラックドライバーの外国人採用は、実質的に特定技能が唯一の選択肢です。制度の動向によって変わる可能性があるため、最新の運用要領をご確認ください。
まとめ
- 特定技能ドライバー1名あたりの直接費用は、国内在住で約100万円、海外呼び寄せで約163万〜183万円です。
- 見積書に出てこない最大のコストは、中型で走れるようになるまでの人件費です。3か月で約87万円、6か月で約174万円と、直接費用に匹敵する規模になります。
- トラック区分の制度上の要件は「第一種運転免許」です。現場で必要な中型は、外免切替のあとに教習所で取得します。
- 義務的支援に要する費用は本人に負担させられません。一方、申請手数料や試験の受験料は本人負担が可能です。
費用を正確に見積もるには、自社の採用要件(人数、地域、必要な車種、稼働開始の希望時期)を前提に置いた試算が必要です。
Factory labでは、御社の条件にあわせた費用とスケジュールのお見積りをお出ししています。タイ・インドネシアからの直接募集、入国前の学科・実技教育、在留資格の申請、入社後の支援業務までワンストップでご提供しますので、まずはお問い合わせください。
出典
- 出入国在留管理庁「自動車運送業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」https://www.moj.go.jp/isa/content/001416435.pdf
- 出入国在留管理庁「特定技能外国人受入れに関する運用要領」https://www.moj.go.jp/isa/content/930004944.pdf
- 出入国在留管理庁「2025年4月1日から在留資格の変更や在留期間の更新などに必要な手数料が改定されます」https://www.moj.go.jp/isa/content/001431802.pdf
- 国土交通省「自動車運送業分野における特定技能外国人の受入れについて」https://www.mlit.go.jp/jidosha/jidosha_tk1_000038.html
- 一般財団法人日本海事協会「自動車運送業分野特定技能1号評価試験」https://www.classnk.or.jp/hp/ja/authentication/evaluation/motortransport.html
- 警視庁「令和7年10月1日施行・改正道路交通法施行規則について」https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/oshirase/low.html
- 警視庁「受験資格」https://www.keishicho.metro.tokyo.lg.jp/menkyo/menkyo/annai/other/tekisei02.html
※本記事の金額は2026年7月時点の一般的な市場相場に基づく概算です。実際の費用は事業者の料金体系、採用人数、地域、為替により変動します。契約前に必ず個別のお見積りをご確認ください。






