特定技能1号の在留資格は、在留期間が通算5年となっています。
特定技能制度がスタートしたのは2019年4月のため、制度が創設されてから間もない時期に特定技能1号人材として来日した外国人の中には、近いうちに在留期間切れを迎えようとしている人も少なくありません。
しかし、2023年(令和5年)6月9日の閣議決定で、特定技能2号の対象分野が11分野に拡大したことにより、事実上在留期間の制限がなくなる「特定技能2号」への移行という選択肢が生まれました。
※参考:特定技能2号が業種拡大へ!事業主が押さえておきたいポイント
この記事では、主に特定技能1号から2号への移行を想定して、在留期間満了時の更新手続きについて解説します。
特定技能1号が在留期間満了を迎えた際の主な選択肢
特定技能1号人材が、在留期間満了を迎えた場合、大きく分けて次のような選択肢があります。
その他、特定技能で3年以上介護系の会社で働いた後、介護福祉士試験に合格することにより、在留資格「介護」への変更が認められるケースもあります。
介護の在留資格を取得すると、在留期間更新の回数制限がなくなるメリットがある反面、最短で3年間の実務経験が必要になるなどハードルは高い傾向にあります。
上記の中でも、特に特定技能2号への移行は多くの企業が想定しているものと思われるため、本記事では詳細を後述します。
特定技能1号の在留期間満了についておさらい
現在、特定技能1号人材を雇用している場合、企業担当者の方は「在留期間満了のタイムリミット=通算5年」であることを理解しているはずです。
しかし、ここでいう通算のカウント開始日は「在留カードを受け取った日(特定技能として入国した日)」となるため、誤って「雇用開始日」からカウントしていないかどうか、本記事を一読したら念のため確認することをおすすめします。
また、特定技能人材の状況によっては、通算期間に含まれるケース・含まれないケースがあり、それぞれ次のようなものが該当します。
※特定活動についての参考記事:在留資格「特定活動」とは|特定技能1号との関連性や雇用時の注意点も解説
在留期間満了となった場合、その後は特定技能1号として就労することはできません。
仮に、自社における雇用契約が残っていたとしても、その点は考慮されないため注意が必要です。
なお、「特定技能の通算期間」と「在留期限」は別ものであり、特定技能1号人材は通算期間が5年に達する日までしか就労できませんが、雇用期間が終了しても、在留期限までは法律上在留が可能となっています。
特定技能1号の在留期間満了にともなう2号移行について
先述の通り、特定技能2号の対象分野が11分野に拡大していることから、これまで特定技能1号として働いてきた外国人材が引き続き日本に在留するには、特定技能2号への移行がもっともスムーズな選択肢となるでしょう。
以下、特定技能1号から特定技能2号へと移行を目指すにあたり、外国人材や企業が知っておきたいことを解説します。
特定技能2号への移行準備について
特定技能1号人材が、2号へ移行するにあたっては、基本的に同じ企業・同じ分野・同じ業務区分での移行となることが予想されます。
よって、評価試験や実務経験、分野によっては日本語能力の要件を満たしていれば、在留資格変更許可申請を行い2号へと移行する流れになります。
基本的に、更新の申請は外国人材本人が行います。
しかし、企業側で用意しなければならない書類も多いため、次のような人が取次を行う場合もあります。
- 申請取次の研修を受け、承認を受けている企業担当者
- 特定技能に関連する各種手続きに精通した行政書士 など
移行にともない必要となる書類一例
外国人材側で準備が必要な書類も、企業側で準備が必要な書類も、特定技能の分野によって詳細が異なります。
その上で、主に必要となる書類の一例は以下の通りです。
移行準備を始めるタイミング
更新申請を始められるタイミングは、原則として在留期限の3ヶ月前となっています。
その上で、必要書類は先にあげた通り多数存在するため、念のため在留期限の4ヶ月以上前から準備を始めても、決して早すぎることはありません。
一般的に、入管で審査にかかる期間は1~3ヶ月が想定されますが、日本では4月入社する外国人材が多いものと推察され、例年1~3月は通常より審査に時間を要する可能性があります。
そのような事情から、準備は早ければ早いほど有利になるため、ゆとりをもって申請の準備を進めましょう。
更新が間に合わなさそうな場合はどうする?
移行準備を始めようと考えたものの、在留期限の4ヶ月を切ってしまっている場合は、まず「在留期限までに“絶対に”更新申請を済ませる」よう動いてください。
最悪、申請さえ済んでしまえば、仮に在留期限までに許可が下りなかったとしても、許可が下りるまでは特例期間となり、その時点で即座に不法滞在と判定されることはありません。
特例期間は、以下のうち、いずれか早い時期となります。
なお、在留期間までに更新申請が間に合わなかったら、ただちに特定技能人材を連れて最寄りの入管に相談しましょう。
場合によっては、例外的に短期滞在等の在留資格変更が認められる可能性もあるため、あきらめないことが大切です。
まとめ
特定技能1号人材は、基本的に在留期間満了となった段階で、1号として在留資格の更新ができなくなります。
より現実的な方法としては、特定技能2号への移行を目指す必要があり、そのためには早い段階で必要書類等の準備をしなければなりません。
在留期限までに手続きを進めたいものの、自社で円滑に準備を進めるための人的リソースが不足している場合は、行政書士などプロの力を借りることも検討しましょう。
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