食品製造業の求人票を作成する場合、どのような職域を経験している人材が欲しいのか、求人票を作る前に各種条件をまとめておく必要があります。
例えば、調理経験者が欲しい場合と、検品経験者が欲しい場合とでは、求人票の記載内容も異なりますよね。
必要な人材を確保するため、外国人材の雇用を検討している場合は、在留資格に留意して求人票をまとめましょう。
この記事では、食品製造業における求人票の作り方について、外国人材を雇用するケースに触れつつ解説します。
食品製造業の求人票を魅力的に作成するポイント
求職者は、求人票を見て「どのような工程で」・「何を作っていて」・「自分が何を任されるのか」を確認します。
その結果、自分が働く具体的なイメージが思い描けた場合、応募へと進む可能性が高くなります。一口に食品製造業といっても、具体的な業務や職務内容は様々ですから、企業としてはなるべく求職者のイメージ想起につながるような表示を意識したいところです。
以下、食品製造業にフォーカスして、まず日本人求職者にとって魅力的な求人票を作成するポイントについて解説します。
職種名
職種名は、求人票の中で求職者が最初に目にする場所です。求職者が混乱しないよう、極力一般的に認知されている職種名を採用しましょう。
具体的には、食品製造・製造管理・生産管理など、求職者が職場環境や業務内容を一目で連想しやすいキーワードを必ず盛り込むようにします。
逆に言えば、その点だけ守っていれば、補足情報を加えても問題ありません。
また、求人票を掲載する媒体によって、職種名のまとめ方を工夫することも大切です。一般的な求人サイト等に情報を掲載する場合、比較的文字数を多めにとれるなら、例えば以下のような表示を採用することができます。
- 「【生産管理】未経験者大歓迎!業界シェアトップクラスの職場で働きませんか」
- 「【製造管理】賞与実績5.1ヶ月/4連休も応相談(月1回)」
求人検索エンジンの求人票など、文字数が限られる場合は、検索されやすいキーワードに絞って職種名を考えます。検索頻度が高いキーワードを選ぶことで、自社求人を露出させる回数を増やすことにつながります。
業務の概要や職務内容
職種名を見て、求人に興味を持った人材が次にチェックするのは、業務の概要・職務内容についてです。
求職者が職務内容に魅力を感じなければ、その段階でアクションを起こさず離れてしまうため、求職者が頭の中で「じっくりと」働くイメージを組み立てられるよう構成する必要があります。概要を説明する際は、求職者に「ハードルが高そう」と思わせないよう、シンプルにまとめます。
例えば、製造管理職なら「生産ライン管理」・「時間調整」といったキーワードを盛り込みつつ、未経験者・異業種出身者でも研修を受けられるなど、安心できる要素を書き含めます。具体的な職務内容に触れる際は、業務名と詳細を簡潔に伝えるようにしましょう。
また、異業種等から応募を検討している人材に向けて、やや専門的と感じられる用語は解説を入れると親切です。
その他、募集の背景(欠員補充、増員等)や、応募者に対して期待することなども書き足しておくと、求職者が自分にできる仕事かどうか判断しやすくなるでしょう。
企業としては、詳細を記載することで、事前にミスマッチのリスクを軽減できます。
応募条件
応募条件をまとめる際は、必要なスキル・資格等を明確に記載します。
未経験者も含めて応募OKとするのか、経験者を優先するのかによって、表示する条件も増減するはずです。
未経験者も含め幅広く募集する場合、スキルというよりは適性に近い条件を箇条書きにすると、求職者の応募に対する心理的ハードルが低くなるでしょう。ただし、特に重要なポイント、例えば「コミュニケーションスキル」や「学歴」などに関しては明確に表示します。
一定のスキルを要する職種の場合は、必須条件と歓迎条件をまとめることで、企業として「より採用したい」と考える人材へのアプローチができます。
例えば、職種・商材を問わず食品業界の経験がある人材を採用したいと考えるなら、その旨を書き含めておきます。
注意点として、求職者が混乱しないよう、たくさんの条件を書き連ねないよう心がけましょう。応募者に課す条件が多ければ多いほど、求職者は敬遠しますから、どうしても譲れない条件を2~3点に絞った上で求人票にまとめるのが理想です。
アピールポイント(求職者にとってのメリット)
求人媒体によっては、選考のポイントや自社のアピールポイントについて、求人広告の中に表示することができます。文章をまとめる際は、極力「求職者のメリット」にフォーカスすることを意識しましょう。
例えば、取り扱う商材に特徴があるなど、食品製造業の中でもニッチな経験ができるのであれば、その点にフォーカスします。
社員インタビューなどを掲載できるのであれば、従業員の生の声を掲載することで、説得力を高められます。
注意点として、メリットばかりを取り上げるのではなく、厳しい部分・大変な部分についても触れるようにしましょう。
ネガティブな情報を盛り込むことで、応募者は不安に感じたポイントを自然と避けるようになりますから、マッチングの観点からは安心です。
外国人材を雇用する場合の求人票作成について
自社で外国人材を雇用する際は、日本人を募集する場合とは異なる点に着目して、求人票作成にあたらなければなりません。
以下、具体的なポイントについて解説します。
採用目的を明確にする
詳細は後述しますが、食品製造業で外国人を社員として採用する場合は「在留資格」を選択しなければなりません。
そのためには、なぜ外国人材を採用するのか、あらかじめ採用目的を明確にする必要があります。
一口に採用目的といっても、企業が人材を募集する背景によって、目的は以下の通り様々です。
純粋な労働力を確保したいのか、外国語に対応できる人材を雇用したいのか、あるいはプロフェッショナルを採用したいのかによって、求人票の構成も変わってきます。
また、在留資格によって、企業が任せられる業務の内容・範囲にも違いが生じるため、まず採用ありきで外国人を雇用するイメージでの採用計画は失敗しやすい傾向にあります。
よって、外国人を雇用する計画を立てる際は、なぜその外国人材でなければならないのか、具体的な理由を考えておきましょう。
雇用される外国人としても、自分が採用された理由が明確なら、安心して職場で働けるはずです。
食品製造業で採用できる在留資格を理解する
在留資格は多数存在しますが、食品製造業というカテゴリの中で、外国人材が就労可能な在留資格は限られています。
現実的に就労可能な在留資格としては、次のようなものがあげられます。
いわゆる総合職的な役割を任せたいのであれば、特定活動46号が適任と言えますが、条件を満たす人材を探すのが大変です。
工場等でのラインにおける戦力として検討するなら、特定技能人材が該当しますが、こちらは広範な業務を任せられる人材ではありません。
採用にあたり、実習生時代の担当業務にこだわりがあるようなら、その旨を求人票に明記しておくとよいでしょう。
在留資格の壁は、企業にとってシビアに感じられる条件のため、外国人を採用してから配属先を考えるスタンスは危険な判断と言えます。
就労ビザと特定技能ビザの違いについて知りたい方はこちらの記事をご参考ください。
▶ 就労ビザと特定技能ビザの違い|在留期間・要件・業務内容など
▶ 飲食料品製造業の特定技能|受入条件や従事する業務・雇用の流れなどを解説
求人票に反映させるべき内容を知る
どの在留資格に当てはまる人材を採用するのか、方針が固まったら、外国人材にとって魅力的な内容を求人票に反映させていきます。
特定技能人材を例にとると、一般的な求人票に加えて、以下のような内容を書き加える必要があるでしょう。
応募資格や在留資格に関しては、外国人材の誤解を招かないよう、必ず記載するようにしましょう。
また、外国人材は日本人以上に待遇面で慎重な判断をします。
例えば特定技能人材の場合、残業について気にする人が多いため、残業時間の目安を記入してあげると親切です。
特定技能の求人票の書き方について、こちらの記事にて詳しく説明しておりますので、興味がある方ぜひ併せてご参考くださいませ。
▶ 特定技能人材向け求人の作り方|具体的な方法や注意点も解説
食料製造業の求人票作成で遵守すべき内容
食料製造業に従事する企業は、求人票を作成するにあたり、いくつか気を付けなければならない点があります。
以下、求人票作成時に遵守すべき内容について解説します。
業務内容の的確な表示
求人票の中で、業務内容について説明する際は、一般的・客観的に見て「誤解を生じさせる表示」にならないよう意識しましょう。
業種・職種について、実際の業務の内容からかけ離れている名称等を使用することは認められません。
例えば、実際には登用の予定はないにもかかわらず「管理職候補」とうたっていたり、コンビニ商品の「製造管理」と表示しながら営業も任せたりするような表記はNGとなります。
その他、契約社員の募集につき、あたかも正社員を募集するかのような表現も、誤解を生じさせる表示につながります。
賃金の的確な表示
賃金の表示に関しては、求職者が厳しめにチェックを入れる箇所のため、特に誤解を生じさせないよう注意が必要です。
自社で採用した人材が、応募時・面接時に聞いていた賃金と違うことに気付いた場合、早期の退職によって無駄な採用コストが発生してしまうおそれがあります。
特に誤解を招きやすい表示の一つが「固定残業代」に関することです。固定残業代を採用している場合、固定残業代を含めた金額が基本給であると誤解されないよう、分けて表示する必要があります。
例えば、基本給が28万円・固定残業代が6万円だった場合、合計額の34万円を月給として表示せず、基本給と固定残業代を分けて表示します。また、固定残業代が何時間分の支給額なのかを表示した上で、固定残業時間を超える時間外労働の割増賃金を追加で支給する旨も追記します。
現職の社員がいくら給与を得ているのか、モデル収入例を表示する際は、モデル収入例が「将来的に必ず支払われる」ものと誤解させないよう配慮しましょう。例えば、年収を表記する際は「450~600万円」のように、極端にならないレンジを設けた上で、モデル給与として同じ職種の社員の平均年収を「【モデル給与】525万円」といった形で例示するにとどめます。
求人企業の的確な表示
求人情報には、求人を出した企業の情報を掲載する必要があり、自社の求人であれば自社の名称を表示しなければなりません。
仮に、自社のグループ企業が有名で、何らかの大きな実績をあげている場合であっても、そのグループ企業が募集をかけているような表記は認められません。
グループ企業に対する興味・関心から応募した求職者は、事実と異なる求人票であることを理由に辞退してしまう可能性があります。
労力と手間をかけて、辞退者だけを増やすことにならないよう、正確な求人企業の情報を表示しましょう。
まとめ
食品製造業の求人票は、職種名や職務内容など、複数のポイントに注力して作成する必要があります。
良いことはもちろん、求職者にとってネックになりそうな部分に関しても、できるだけ具体的に記載することが大切です。
外国人材に向けた求人票を作成する場合は、まず採用目的を固め、その後マッチする在留資格を検討する順序を忘れないようにしましょう。
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