外国人支援

ファクトリーラボ株式会社の代表

山本 陽平

公開日

October 5, 2022

更新日

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【外国人労働者の賃金】雇用する際の基本的なルールや注意点を解説

目次
表紙

外国人労働者を雇用する際、外国人に自社で働いてもらった経験が少ない経営者の方は、

「賃金ってどう決めたらいいんだろう……」

「最低賃金以上の支払いが必要なのかな?」

このような悩みを抱えているのではないでしょうか。

実は、外国人労働者の賃金は、たとえ外国人であっても、日本人と同じ賃金水準を保たなければならないことになっているんです。

この記事では、外国人労働者を雇用する際の賃金について、基本的なルール・注意点などを解説します。

外国人労働者の賃金に関する基本的なルール

日本で企業が外国人労働者を雇う場合、賃金に関する法律を守らなければなりません。

まずは、どんなルールが法律で定められているのか、基本的な部分を確認していきましょう。

給与額は「最低賃金」を下回ってはならない

最低賃金とは、企業などの使用者が「労働者に対して最低限支払わなければならない賃金」のことです。

企業の経営者の方・人事担当者の方なら、最低賃金のあらましに関しては、すでにご存じかもしれませんね。

最低賃金に関するルールは、最低賃金法という法律で詳しく定められています。

また、厚生労働省の告知「外国人労働者の雇用管理の改善等に関して事業主が適切に対処するための指針」によると、労働者の国籍にかかわらず最低賃金法が適用される旨が記されています。

その他、労働基準法第3条において、使用者は「労働者の国籍・信条・社会的身分を理由に賃金等の差別的取り扱いをしてはならない」と定められています。

よって、外国人労働者を自社で雇用して給与を支払う場合、企業は最低賃金を下回ってはいけません。

日本人も外国人労働者も関係なく、労働者に給与を支払う際は「最低賃金以上の金額を支払う必要がある」ものと押さえておけば、実務上問題はないでしょう。

最低賃金の種類にも注意が必要

最低賃金と聞くと、多くの人は都道府県別にリストアップされた最低賃金を思い浮かべるかもしれませんね。

しかし、実際には最低賃金の種類は2種類あって、計算方法や該当する産業が違います。

具体的には、地域別最低賃金・特定最低賃金の2種類に分かれます。それぞれ、概要をかんたんにご説明します。

地域別最低賃金

最低賃金は、時間(時給)によって定められ、詳細な金額は都道府県によって違います。

この「都道府県ごとに違う」最低賃金のことを、地域別最低賃金といいます。

地域別最低賃金は、産業・職種を問わず、都道府県内の事業場で働くすべての労働者・使用者に適用されるものです。

対象となる労働者の雇用形態は、正社員だけに限られませんから、パートやアルバイトスタッフはもちろん、臨時・嘱託社員なども対象となります。

地域別最低賃金を定めるにあたっては、以下の3点が総合的に勘案されます。

・労働者の生計費

・労働者の賃金

・通常の事業の賃金支払い能力

一律で最低賃金の金額を定めてしまうと、賃金を支払えず採用を取りやめてしまう企業が増えるものと予想されます。そのため、最低賃金の決定に関しては、地方の実情が反映される形となっています。

ちなみに、外国人労働者の賃金に関しても例外ではなく、各都道府県の最低賃金が適用されます。首都圏で働く外国人の給与が、地方で働く外国人の給与に比べて高くなるケースも十分考えられるため、外国人労働者を採用する際には、そういった点についても説明を加えた方が親切かもしれません。

特定最低賃金

特定最低賃金は、産業別最低賃金とも呼ばれ、特定の産業に設定された最低賃金です。位置づけとしては、企業内の賃金水準を設定する際の、労使の取り組みを補完するものとされます。

地域別最低賃金がほぼ例外なく全国各地で適用されるのに対して、特定最低賃金は、労使の間で「地域別最低賃金よりも高い水準で最低賃金を定めるべき」と判断された、一部の産業にのみ設定されます。

よって、基本的には特定最低賃金の方が地域別最低賃金よりも高くなりますが、もし地域別最低賃金の方が高い場合は、高い方の賃金(地域別最低賃金)が適用されます。

なお、特定最低賃金が該当する産業の種類は、地域によって異なります。外国人労働者の採用を検討している企業は、事業がどの産業に該当するのか確認した上で、賃金を決定しましょう。

最低賃金以上の給与を支払わなかった場合のリスク

もし、使用者(企業経営者等)が外国人労働者に対して、最低賃金以上の給与を支払わなかった場合、使用者はどのような罰則を受ける可能性があるのでしょうか。

この点については、最低賃金法・労働基準法でそれぞれ定められており、決して軽くない罰則が設けられています。

最低賃金法上の罰則

最低賃金法では、以下のような形で罰則が設けられています。

最低賃金法上の罰則の画像
参照:厚生労働省 / 最低賃金制度とは

労働基準法上の罰則

労働基準法では、以下のような形で罰則が設けられています。

労働基準法上の罰則の画像
参照:厚生労働省 / 最低賃金制度とは

社会的制裁について

最低賃金法・労働基準法ともに、罰則は罰金刑のみとなっています。

小規模事業者にとっては決して安くない金額ですが、一定の事業規模の中小企業であれば、そこまで大きな金銭的負担には思えないかもしれません。

しかし、法律に違反した場合、企業にとってもっとも大きな問題は、社会的制裁です。

各種メディアで報道され、自社の悪評が広まってしまうと、経営・業績に悪影響を及ぼします。

取引先や世間から、一度信用を失ってしまうと、それを取り返すのは非常に困難です。「日本に来てまだ慣れない外国人労働者を、安い賃金で働かせていた」などと報道されたら、日本ではあっという間にその企業は悪者となってしまうでしょう。

自社の未来を守るためにも、外国人労働者を雇用する際は、日本人を雇用する場合と同様に、最低賃金に関するルールを守ることが大切です。

外国人労働者の賃金を決める際の注意点

実際に外国人労働者の賃金を決める際は、差別的な取り扱いをしたり、自社の都合を前面に出したりして、企業側の主観的な理由で金額を決定することは認められません。

以下に、企業が賃金を決める際の注意点について、主なものをご紹介します。

技能実習生も最低賃金の対象

技能実習生は、原則として「企業等と雇用関係を結び働く中で、技能実習生の出身国において修得が困難な、各種技能等を習得して上達させること」を目的に来日しています。

つまり、学生のように単純に勉強するだけでなく、勤務先に労働力を提供しつつ勉強をしている立場と言えます。

技能実習生は、雇用関係を結ぶ企業からも労働力として期待されている存在ですから、当然ながら最低賃金を下回る賃金設定は認められません。

万一、最低賃金を下回る賃金を支払っていることが発覚した場合、入管法に基づく不正行為認定の対象となります。

自社が対象となった場合、罰金や未払金の支払いを求められるだけでなく、技能実習生の受け入れが一時停止されますから、技能実習生に労働力を頼っている場合は大きな痛手となるでしょう。

同一労働同一賃金は外国人労働者も対象

正規・非正規労働者の待遇格差が問題となったことで、雇用形態にかかわらず不合理な待遇や差別的取り扱いを解消する「同一労働同一賃金」の概念が広まってきています。

これは国籍に関しても同様であり、外国人だからといって、不合理な理由で賃金に差を付けることは認められません。

ただ、経営者・企業担当者の目線から見て、

・労働者の能力や経験によって賃金差を設けるのは問題ないのか

・不合理な理由とはどのようなものか

こういった疑問が生じることもあると思います。

そこで、厚生労働省のガイドラインの中から、待遇を決めるにあたり問題ない考え方・問題となる考え方について、一部抜粋して解説します。

待遇を決めるにあたり問題とならないケース

待遇を決めるにあたり、同一労働同一賃金の観点から問題とならないケースとしては、以下のようなものがあげられます。

待遇を決めるにあたり問題とならないケースの画像

仮に、外国人同士で待遇差を設ける場合、日本語が堪能でないスタッフが店舗の清掃を行い、日本語が堪能なスタッフが接客を行うなど、明らかに違う業務内容であれば問題ありません。

待遇を決めるにあたり問題となるケース

次に、待遇を決めるにあたり、同一労働同一賃金の観点から問題となるであろうケースをご紹介します。

 待遇を決めるにあたり問題となるケースの画像

同じ労働条件の中で、能力や経験の差において賃金差を設けることは問題ではありません。

しかし、現在の業務と直接関連しない経験を評価したり、労働時間が異なる労働者に共通の目標を設定して評価したりすることは、同一労働同一賃金の観点から認められません。

所得税の課税範囲についても注意

日本人と違い、外国人労働者は「日本での居住状況によって」課税される所得に違いがあります。

外国人労働者に賃金を支払う際は、所得税の課税範囲についても注意が必要です。外国人労働者は、居住状況により以下のような形で区分されます。

参照:国税庁タックスアンサー / No.2010 納税義務者となる個人

なお、永住者となるための条件は、単純に日本に住み続けるだけでは得られないものですが、非永住者以外の居住者は、実質的に永住者として課税所得が計算されるものと考えてよいでしょう。

また、非居住者については、原則として20.42%の税率で源泉徴収を行いますが、日本との間で租税条約を締結している国から来ている外国人については、租税条約が適用されることで免税・又は軽減となる場合があります。

外国人の特定技能資格取得者を雇用する際の注意点

特定技能の在留資格は、日本で優秀な人材の確保が困難な産業につき、一定の専門性・技術を有する外国人労働者を即戦力として受け入れる目的で設けられました。

よって、特定技能資格を取得している外国人労働者に関しては、報酬・福利厚生・待遇等につき、日本人労働者と同等以上の条件をそろえることが大切です。

具体的には、以下のような点に注意が必要です。

日本人と同等以上の給与を支払う

特定技能外国人に対する報酬は、外国人であるというだけで不当に低くなるようなことは認められません。

もちろん、多くの企業はそうならないよう努めるはずですが、外国人労働者が誤解してしまうリスクは十分考えられることです。

もし、特定技能外国人と同じレベルの技術がある日本人労働者が職場にいる場合は、その日本人労働者と職務内容や責任の程度が同等であることを丁寧に説明します。

いない場合は、賃金規程やレベルが近い日本人労働者のケースを出して、報酬が正当なものであることを外国人労働者に理解してもらいましょう。

もちろん、外国人労働者と比較して、日本人に不当な賃金を支払うこともNGです。

日本人と同等以上の福利厚生を付与する

特定技能外国人に対しては、報酬の決定だけでなく、福利厚生の観点からも差別的な取り扱いをしないよう注意が必要です。

教育訓練の内容に差を設けることなく、福利厚生施設(社宅・診療施設・保養所・体育館など)の利用に関しても、日本人と同等の形で認めましょう。

一時帰国を希望した際の有休取得を許可する

もし、特定技能外国人から一時帰国の申し出があった場合、基本的には何らかの形で有給休暇を取得できるように取り計らいましょう。

すでに労働基準法上の年次有給休暇をすべて取得した場合であっても、追加的に休みが取れるよう配慮すべきです。

ただし、事業の適正な運営を妨げるなど、業務上やむを得ない事情があるときは、一時帰国を許可しないことも認められる場合があります。

とはいえ、一時帰国を検討している特定技能外国人は、家族行事や介護などの理由を抱えていることも少なくないため、できるだけ快く送り出してあげられる環境を整えたいところです。

まとめ

以上、外国人労働者の賃金について、基本的なルールや注意点等を解説してきました。

外国人労働者の賃金に関しては、基本的には日本人と同様のルールが適用されますが、一部例外もあります。

特定技能外国人の場合、自社の雇用体制を整えなければ、なかなか効率的な採用は難しいでしょう。

賃金に関する不安事項の解消も含め、特定技能外国人の雇用をスムーズに進めたいなら、実績豊富な登録支援機関を活用することが不可欠です。

Factory labの人材紹介サービスをご利用いただければ、優秀な外国人を自社のリソースとして活用できます。

まずは、お気軽にお問い合わせください。

ファクトリーラボ株式会社の代表

代表取締役社長

山本 陽平

1990年東京生まれ。2013年上智大学総合人間科学部卒業後、東証1部上場の資産運用会社に入社しコーポレート部門に配属。2017年、外国人採用支援及び技能実習生の推進をしているスタートアップに参画。事業部長として特定技能、技能実習、技術・人文知識・国際業務の人材紹介や派遣事業の展開及び支援を取り仕切る。人的な課題、採用や定着に大きなペインを抱えた製造業に着目し、一貫したソリューションを提供することを目的として2022年にファクトリーラボを設立し代表に就任。