製造業

ファクトリーラボ株式会社の代表

山本 陽平

公開日

April 13, 2023

更新日

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製造業向けマッチングサイトとは|外国人向けサービスも紹介

目次

一般的に、人材確保というと「自社で働いてくれる人材」を探す選択肢を思い浮かべがちですが、自社で人材を雇用すると人件費が発生しますし、採用した人材が成長するまで時間がかかるケースも珍しくありませんよね。

かといって、営業担当者やエンジニアの人数が少ない中で営業をかけようとすると、自社の事情に詳しい人材がいない場合、なかなか契約にこぎつけるのが難しいかもしれません。

そこで役立つのが、製造業に限定した企業情報・技術情報とのマッチングが可能な、製造業向けマッチングサービスです。

この記事では、製造業の人材不足に焦点を当てつつ、製造業向けマッチングサイト・外国人材の紹介に関連するサービスについて解説します。

製造業マッチングサービスとは

まずは、製造業マッチングサービスとはどのようなものか、概要をご紹介します。

いわゆる製造業向け求人サイトとは利用方法が異なり、社員として個人を採用する目的で運用されていない点に注意しましょう。

製造業の「需要」と「供給」をマッチングする

製造業マッチングサービスは、以下の3者のやり取りで成立するプラットフォームのことをいいます。

○商品を提供する企業(供給者)
○商品を求めている企業(需要者)
○プラットフォームの運営側(仲介者)

商品・サービスの提供を自社だけで行おうとした際に、障害が発生することは珍しくありません。

自社に十分なリソースがなかったり、新規事業の展開にあたり欲しいエンジニアが見つからなかったりして、商品・サービスの提供をあきらめてしまうことは十分に考えられる状況です。

それは製造業同士でも一緒で、例えば建築部品に用いる金属・鉄鋼を製造している企業だからといって、すぐさま研究装置の開発に乗り出せるわけではありません。

ただ、自社に欠けている技術につき、他の企業の製品を使って補完した上で商品を作ることができれば、新商品の開発・販売に向けて動きをかけるハードルが低くなります。

そこで問題となるのが、協力してくれる存在となり得る企業の情報収集です。

Googleなどの検索エンジンは日々進化していますが、使うのは人間ですから、ピンポイントで自社が欲しい技術・製品を持つ企業を探し出すのは、決してかんたんなことではありません。

しかし、製造業マッチングサービスを利用することで、自社が提供を予定している商品・サービスのニーズに合致する供給者を探す難易度が低くなります。

その結果、一からエンジニア等の採用を検討しなくても、企業は新しい展開を想定して動けるようになるのです。

一般的な利用の流れ

製造業マッチングサービスの中身は、サービスによって詳細が異なるため、どのようにサービスを利用するのか一概に説明することはできません。

ただ、マッチングを目的とした場合、大まかな流れは以下の通りです。

① サービス上で商談したい候補の企業、興味のある技術をチェックする
② 実際に商談を進めようと考えた企業をいくつかに絞る
③ 候補企業に問い合わせを行う
④ 実際に面談後、最終的に1社に絞って発注する

サービスによっては、所定のフォームに必要事項を入力した後、運営側が自社の要望に合致する企業を紹介してくれる場合もあります。

なるべく自社主導でやり取りを進めたいか、極力手間を省きたいかによって、選択肢が変わってくるものと考えておくとよいでしょう。

製造業マッチングサービスを利用するメリット

製造業マッチングサービスを利用することで、企業にはどのようなメリットが期待できるのでしょうか。

以下、主なものをご紹介します。

ビジネスチャンスを逃さずにすむ

製造業において、これまで培ってきた技術をベースに取引先を増やしたいと考える場合、現実的な問題として業界の垣根を越えるのは難しい部分があります。

もちろん、富士フィルムが写真フィルムに関する技術を化粧品分野に応用したように、アイデア次第で新たなビジネスチャンスにつなげることも可能ではありますが、想像の飛躍は決してかんたんなことではないはずです。

また、リーマンショック・新型コロナ禍に代表されるような、時代の急激な変化を見据えた経営を進めようと考えている場合、どうしてもリスク分散は必要になってきます。

そのためには、リスクを分散させるために複数の企業と取引をしたり、新たな業界へ進出したりと、限られたビジネスチャンスを確実にモノにしたいところです。

自社のDX化が遅れていても、IT企業が自社の技術を必要としてくれているなら、協力を前向きに検討しやすいでしょう。

マッチングサービスは、高度な技術を風化させることなく、新しくパッケージングして世に送り出せるチャンスを生む可能性を秘めているのです。

各種コストの削減につながる

新事業を展開するにせよ、営業をかけるにせよ、その動きを支えているのは「人」です。

自社のプロジェクトを支える人材を確保できないまま、新たな動きをかけることは難しいでしょう。

しかし、必要な人材を雇用するには、相応の採用コストがかかります。

採用後、新規事業等の中心的人物となり動いてもらうとなると、移動時の交通費・宿泊費もかさむことでしょう。

マッチングサイト型のサービスを利用すれば、情報収集は基本的にWeb上で行えます。

打ち合わせも、現場を見なければならない場合を除いては、オンラインで成立する場面が増えます。

マーケティングにかかるコストも、自社で広告代理店等に依頼する場合に比べると、比較的安く収まることが多いはずです。

営業先候補となる技術者・担当者などに広告を出してくれるサービスを選べば、別途自社PRやスカウトのための動きをかける必要がなくなりますから、結果的に採用・マーケティングに発生するコストを削減することにつながります。

自社にとって刺激となる

自社と同業の企業・類似する技術に関しては、製造業マッチングサービスの中で検索できることも多いでしょう。

市場において自社の技術にどのくらいのニーズがあるのか、ある程度間接的に把握することもできます。

多くのサービスは、メッセージ機能などを利用することで、企業同士の友好的なやり取りができるような仕組みを設けています。

メッセージのやり取りをすることで、企業担当者または経営者と意気投合できれば、そこから仕事の幅を広げることにもつながります。

商品の大量発注に対応する際、自社の工場を稼働させるだけではまかなえない場合、同業の企業に手伝ってもらうというアプローチも可能になるでしょう。

正式に提携することで、自社の技術と他社のアイデアを掛け合わせた、まったく新しい製品を生み出すことも十分考えられます。

同業他社が似たような技術を持ちながら、その活用分野に違いがある場合は、自社の事業展開にポジティブな刺激となるはずです。

認知度向上・海外展開を視野に入れられる

製造業マッチングサービスは、即効性を狙うだけでなく、将来にわたって自社の存在を宣伝する目的で活用することもできます。

利用企業が多いサービスを選べば、それだけ自社の存在が知れ渡るチャンスとなるでしょう。

多くの企業に自社のことを知ってもらえれば、認知度は高まります。

仮に、すぐに契約を結べなかったとしても、比較的安価なランニングコストで、気長に情報発信ができます。

企業ページの翻訳が可能など、日本だけでなく海外の企業が利用しているサービスを選べば、日本以外の企業を狙ったマッチングも現実味を帯びてきます。

ただし、実際のやり取りを進める上では、英語を含む外国語を話せる人材が必要になるため注意が必要です。

製造業マッチングサービスを利用するデメリット

登場して比較的歴史が新しい分、製造業マッチングサービスは魅力的に感じられるかもしれませんが、決して自社の問題解決における万能ツールではありません。

以下、製造業マッチングサービスの利用にあたり、気を付けたいデメリットについてご紹介します。

マッチングできるかどうかは企業次第

マッチングサービスの多くは、あくまでも場や機会を増やすために運営されているのであって、特定の企業を猛烈にプッシュしてくれるわけではありません。

いくら自社が契約にこぎつけたいと考えても、相手方が納得しなければ話は進みませんし、逆に自社が見送らなければならない状況も生じてきます。

本気で契約に結び付けたいのであれば、マッチングサービス側に全面的に頼るスタンスをとらないようにしましょう。

自社サイト・SNSアカウントなどを使って、アピールポイントは事前に準備しておくべきです。

長い目で利用しなければならない

対個人の契約とは違って、企業同士が契約を結ぶ以上、マッチングまでにはどうしても時間がかかります。

限られた時間の中で、複数回のやり取りを行うと、相応の負担が生じます。

そのため、マッチングサービスを利用する目的を明確に定めなければ、時間と労力の無駄になってしまうでしょう。

取引先のことを考えるなら、納期についても配慮しなければなりませんから、自社の課題を数値化・言語化した上で利用することが大切です。

コストに気を配る

マッチングサービスは、一部無料で利用できるものを除き、基本的に利用料金が発生します。

費用感が公式サイト等で紹介されているとは限らないので、事前に資料や見積もりをもらうなどして、どのくらいのコストが発生するのか確認しておきましょう。

正確にコストを押さえることで、思うような結果が出なかった場合の損切りラインを定めやすくなります。

サービス利用時は、コスト面の確認を怠らないようにしたいところです。

主な製造業マッチングサービスについて

初めて製造業マッチングサービスを利用するなら、比較的知名度の高いサービスを選ぶことで、感触をつかむのがベターです。

以下、名前を知られている製造業マッチングサービスをいくつかご紹介します。

ジェグテック

ジェグテックは、日本の中小企業と国内大手企業・海外企業をつなぐ、ビジネスマッチングサイトです。

独立行政法人 中小企業基盤整備機構が運営しているサイトのため、利用料は無料となっています。

専門知識を持つ中小機構のアドバイザーが、登録企業との商談・情報交換に向けサポートを行ってくれるのも、企業にとっては嬉しいところ。

英語翻訳サービスも無料で利用できるので、世界中での検索に対応可能なのも魅力です。

EMIDAS

EMIDAS(エミダス)は、工場を検索する際のポータルサイトで、主に発注者が仕入先となる工場を探すために利用するサービスです。

加工分類や設備から工場を検索でき、地図からの検索・課題に応じた検索にも対応しています。

無料での掲載が可能なプランもあるため、まずはお金をかけずに反応を見て、徐々に上位プランの利用を検討する方法も選べます。

広報の専門部署がない・自社PRのノウハウに乏しい企業にとっては、強力な武器になるはずです。

AUBA

AUBA(アウバ)は、事業提携・共同研究・資金調達といった、幅広い目的で利用できるプラットフォームです。

自社PR掲載・メッセージでのやり取りは、無料で試すことができます。

一次産業から先端領域まで、様々な業種の企業が参加しており、単純な受発注の関係を越えた「共創」関係を目指す商談が可能です。

利用者は意思決定層が多いことから、スムーズなやり取りが期待できます。

人材確保優先なら「外国人材」とのマッチングも検討しよう

ここまで紹介してきた通り、製造業マッチングサービスは、自社の人材ではなく他社を活用して課題を解決するために用いるサービスです。

そのため、自社の人員を増やすことを目的としているなら、活用するのは難しいかもしれません。

そこで、まずは優秀な人材を確保し、自社の基盤となる事業を強化したいのであれば、外国人材とのマッチングサービスも活用したいところです。

以下、製造業に限らず、幅広く外国人材を確保するためのサービスをいくつかご紹介します。

Bridgers

Bridgers(ブリッジャーズ)は、海外大卒・日本語ビジネスレベル人材を紹介してくれるサービスです。

利用にあたり固定費は発生せず、成果報酬型での採用が可能です。

自社が第一志望の人材だけをターゲットにしたオンライン面接など、採用効率を高めるためのイベントも行われています。

複数の事業・部署を抱えている場合・大量採用を検討している場合に、役立つ選択肢の一つとなるでしょう。

GOWELL

GOWELL(ゴーウェル)は、グローバル人財事業をはじめとする3事業を展開している企業で、ベトナム・タイなど東南アジア人材に強い傾向があります。

日本語能力試験のレベルは、N1・N2人材が合わせて80%を占めており、年齢層も20代が中心となっています。

メーカーや施工管理での採用事例も見られ、製造業人材を探す上でも頼りにしたいところです。

アジアの人材を中心に採用を検討しているなら、GOWELLも選択肢の一つに含めておきましょう。

Factory lab

Factory lab(ファクトリーラボ)は、人手不足に悩む製造業に特化した、人材紹介サービスを展開しています。

現場作業員からエンジニア、通訳、経理、貿易事務といったバックオフィス人材など、在留資格で言えば「特定技能」・「技術・人文知識・国際業務」の人材を紹介可能です。

特定技能の登録支援機関でもあるため、これからニーズが高まる特定技能人材を本格的に雇用することを考えているなら、積極的に活用したいサービスです。

タイ・ベトナム・中国・インドネシアの人材を中心に、即戦力を紹介できるのが大きなメリットです。

まとめ

製造業のマッチングサービスを上手に活用すれば、新しい人材を雇用することなく、問題解決に向けた方策を検討できます。

自社の人員を増強するのではなく、他社の力を借りる方法は、採用難の時代を迎えている日本において新しい解決法となるはずです。

しかし、登録すれば即時マッチングが成立するわけではないので、時間をかけてマッチングに臨む必要があります。

逆に、自社が他社と連携するにあたり、人員の不足が見込まれるのであれば、外国人材も視野に入れた採用活動を進めましょう。

ファクトリーラボ株式会社の代表

代表取締役社長

山本 陽平

1990年東京生まれ。2013年上智大学総合人間科学部卒業後、東証1部上場の資産運用会社に入社しコーポレート部門に配属。2017年、外国人採用支援及び技能実習生の推進をしているスタートアップに参画。事業部長として特定技能、技能実習、技術・人文知識・国際業務の人材紹介や派遣事業の展開及び支援を取り仕切る。人的な課題、採用や定着に大きなペインを抱えた製造業に着目し、一貫したソリューションを提供することを目的として2022年にファクトリーラボを設立し代表に就任。