特定技能

ファクトリーラボ株式会社の代表

山本 陽平

公開日

February 20, 2023

更新日

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登録支援機関に支払う費用|特定技能外国人を雇うなら押さえておこう!

目次

特定技能外国人を自社で雇用する際、自力で支援を進めていくのは大変です。

そこで、多くの企業は「登録支援機関」に依頼して、特定技能外国人が在留する間の支援計画作成・実施を委託することになります。

ただ、これまで特定技能外国人を雇用したことがない企業にとって、登録支援機関を利用する際に発生する費用は気になるところですよね。

この記事では、特定技能外国人を雇用するなら押さえておきたい、登録支援機関に支払う費用について解説します。

登録支援機関に支払う費用の種類や金額

まずは、登録支援機関に対して支払う費用の種類や、おおまかな金額についてご紹介します。

大きく分けて、月額制を採用している登録支援機関とそうでない登録支援機関があるので、それぞれの相場観を踏まえつつ委託先を検討していきたいところです。

登録支援機関に支払うのは「支援委託手数料」

登録支援機関に、特定技能外国人を雇用する際のサポートを委託する場合、支援委託手数料という名目の料金を支払うことになります。

ただ、一口に支援委託手数料といっても、包括的に手数料を支払うのか、個々の支援に応じて手数料を支払うのかは、登録支援機関によって料金体系が異なります。

包括的な支援を行う登録支援機関は、月額制で料金を設定することが多いようです。

逆に、個々の支援内容に応じて料金をもらうタイプの登録支援機関は、どんな支援を行うのかによって、各支援を行った場合の金額を定めています。

どちらがよいのかについては、委託を検討している企業の事情によって異なりますが、何もかも登録支援機関に任せるのであれば、月額制の方が総合的なサポートに対する期待度は高いでしょう。

ただ、最終的には支援内容がどうなっているのかを見極めた上で、登録支援機関を選ぶことが重要です。

支援委託手数料に相場はない?

特定技能という在留資格自体が、2019年4月のスタートと歴史が浅いこともあって、手数料が統一されていない状況です。

そのため、支援委託手数料に関しては、これといった相場観がないとする意見も多く見られます。

ただ、日本には外国人技能実習制度があることから、相場を形成する上で参考値となっている可能性は高いでしょう。

受入機関の側で負担感が少ないコストを追及すると、おのずと相場観が形成されるものと予想されます。

以下の例はあくまでも一例で、当社・Factory labの料金とも異なりますが、参考情報としてお伝えします。

【月額制の場合(総合的支援)】

1人あたり月額20,000~40,000円

【支援に応じて料金が決まっている場合】

入国前支援ガイダンス1回につき30,000~60,000円
生活オリエンテーション 1回につき55,000~80,000円
定期的な面談 1回につき10,000~15,000円
同行を要する支援 1時間につき5,000~10,000円

※参照元:介護の人事労務ナビ|登録支援機関にかかる費用はいくら?月額委託手数料の相場を解説

また、同行を要する支援には、例えば以下のようなものが該当します。

○預貯金口座の開設手続き
○住居の契約・入居手続き
○携帯電話契約の締結手続き・購入サポート
○行政機関(市区町村役場等)への手続き

ここまでご紹介してきた金額は、あくまでも参考値であって、特定技能外国人の雇用が活発化すれば相場が変動する可能性は十分あります。

どちらかというと、登録支援機関を費用面から見極めるよりは、サービスや相性・実績などを重視した方がよいでしょう。

特定技能外国人の雇用に発生する諸費用にも注意!

登録支援機関は、特定技能外国人の雇用に際して、幅広いサポートを行ってくれます。

そのため、登録支援機関にサポートを委託した段階で、月額費用だけを考えればよいと思っている経営者・企業担当者もいるかもしれません。

しかし、日本で外国人を雇用する場合、登録支援機関に支払う料金の他にも、考慮すべき諸費用が存在します。

代表的な費用としては、以下のようなものがあります。

費用名相場(1人あたり)詳細
ビザ申請
100,000~200,000円行政書士や弁護士に書類作成を依頼
住宅補助費
家賃の金額によるので、地域差がある
・本人契約の場合は、敷金・礼金の負担を企業が行わなくてもよい
・物件借り上げの場合は、敷金・礼金・保証料を外国人に負担させることはできない
給与 180,000~250,000円
・業種によって相場が異なる
・「日本人と同等以上である」ことが求められるので注意
人材紹介料 200,000~500,000円程度
紹介会社によって幅があるため、
200,000~500,000円ほどを見積もっておく

上記のうち、ビザ申請に関しては、準備する書類の多さが金額に反映されている状況です。

そのため、オンライン申請が認められるようになったことで、将来的には相場が下がる可能性があります。

登録支援機関に頼らない方法

登録支援機関のコストについて、総合的支援の1人あたりの金額を見る限り「月ごとのランニングコストはそれほど高くない」と思う人もいるかもしれませんね。

しかし、それはあくまでも「1人あたり」の数字であり、雇用する人数が増えれば増えるほど、毎月のコストはかさんでいきます。

そこで、登録支援機関に頼らず、自社で働く人材を確保しようと考える人もいるかもしれません。

続いては、登録機関に頼らないで、労働力を強化する方法についても触れていきます。

支援の内製化

特定技能外国人を雇用する企業は、必ず登録支援機関に委託しなければならないというルールはなく、あくまでも任意となっています。

それでも多くの企業が登録支援機関への委託を検討するのは、特定技能外国人が日本で働く上で必要な手続き・サポートをバックアップしてもらえるメリットがあるからです。

これまで外国人を雇用したことがない企業は、特定技能外国人に限らず、外国人材の雇用ノウハウがありません。

また、制度上「企業が義務として行わなければならない支援」が存在するため、自社で遅滞なく支援を行うのは難易度が高いという現実があります。

ただ、まったく不可能というわけでもなく、適切な支援体制を整えられる環境であれば、登録支援機関は必要ありません。

外国人雇用の年数が長くなればなるほど、委託費用を抑えられるメリットは大きくなるのです。

仮に、1人あたり月額20,000円の支援費用で5人を雇用した場合、1年間の支援費用は、

20,000円×12ヶ月×5人=1,200,000円

となります。

5年たてば6,000,000円になるので、企業規模によってはかなりの負担を抑えられるでしょう。

内製化への道は険しい

支援の内製化が実現できれば、確かに大幅なコスト削減につながるでしょう。

しかし、内製化には詳細な要件が定められており、企業は要件を満たして適切な支援体制を整えなければなりません。

自社が適正な支援体制のある企業と認められるためには、以下のような要件を満たす必要があります。

要件
詳細
責任者と担当者がいること
支援責任者、および1名以上の支援担当者が必要
過去に中長期在留外国人の受入実績があること
・過去2年以内に、就労資格を持った中長期在留外国人を受け入れたことがある
・過去2年以内に、外国人に関する生活相談に従事していた経験のある人材がいる
・支援責任者、支援担当者が、過去5年以内に「2年以上就労資格を持った中長期在留外国人」への生活相談業務を担当(従事)したことがある 
・その他、上記と同じレベルで支援業務を適切に実施できると証明できる
※(基本的に、過去に技能実習生を受け入れている企業ならOK)
外国人が理解できる言語で支援が可能なこと
通訳ができる社員が常駐している必要はなく、必要なタイミングで通訳が確保できるならOK
特定技能外国人の行方不明者を出していないこと
1年以内に、自社の責めに帰すべき理由によって出した場合はNG
支援の実施を怠っていないこと
特定技能雇用契約の締結前5年以内、締結後の支援を怠るとNG
また、支援費用は、直接的・間接的に外国人本人に負担させてはならない
定期的な面談が実施できること
・3ヶ月に1回以上の頻度
・特定技能外国人、直属の上司などの監督者と、支援担当者が面談できること

これらの条件を満たした後、出入国在留管理局に申請書を提出して、ようやく自社支援が認められるのです。

ただ、これらの条件を満たす上で、先行投資として一定のコストは覚悟しなければなりません。

担当者や責任者への教育はもちろんのこと、通訳・翻訳に携わる人材を確保しなければならず、面談の時間もとらなければなりません。

金銭面でのコストだけでなく、社員の時間や人員確保も重要なファクターとなるでしょう。

中途半端な対応では申請が認められないので、本腰を入れて体制を整えなければ、支援の内製化は厳しいものと考えた方が賢明です。

日本人労働者の雇用に力を入れる

人員不足が深刻化しているからこそ、多くの企業は外国人材を雇用する方向へシフトしています。

しかし、あえてその逆を狙い、日本人労働者で就職先を探している人に情報を発信する選択肢もあります。

地場企業の中には、そもそも地元人材の雇用をあきらめ、UIJターンで優秀な人材を確保しようと考えている企業も多く見られます。

ただ、全国規模で人材を確保しようとすると、各種求人サイト・エージェントへの登録が必要になり、採用できるまでコストは発生し続けます。

この点に関しては、官公庁が運営するUIJターン向けサイトを使えば、利用料無料で人材にアプローチできます。

しかし、無料となると登録する企業も多く、実質的に自社の情報が埋もれてしまう可能性が高いでしょう。

そこで、地元の求人・人材に特化した求人サービスを利用すると、地方に愛着のある人材を探しやすくなります。

全国区のメディアを使ったり、複数地域で同時募集をかけたりする場合に比べて、ランニングコストも相対的に安くなる傾向にあります。

日本人労働者を採用すれば、言語教育に関する負担は圧倒的に少なくなりますし、住居や生活の面倒を見る機会も減ります。

求人サービスの中には、比較的安価ながら求人記事のブラッシュアップに特化したものもあるので、自社の魅力に気付いてもらえれば人材が集まると考えている企業担当者は、日本人の採用を再考してみるのも一手です。

ただし、この方法を選んだ場合、企業の立地によっては即戦力の確保が難しい可能性があります。

そこで若年者を採用しようとしても、年齢層が高くなってしまうケースは十分に考えられます。

地元人材の日本人雇用を狙うなら、即戦力確保の戦略は後回しにして、まずは年齢を問わず人手を確保するスタンスに切り替えることが求められるでしょう。

よって、近々で有力な人材を探しているなら、かえって外国人材を雇用した方が吉と出るかもしれません。

AI技術の活用

予算が確保できるのであれば、将来を見越してAI技術を職場に導入する方法もあります。

大手企業でも、AIを導入して業務効率化・人員配置のスマート化を実現している企業は多く見られ、中小企業での導入にも期待がかかっています。

具体的なジャンルとしては、目視に頼らない生産ラインでの不良品選別、協働ロボットとの連携による業務効率化、複数のデータ活用による需要予測などがあげられます。

機械の精密なチェックが入る分、品質向上や安全性の向上も期待でき、今後も導入を検討する企業は増えていくものと推察されます。

ただ、構想・検証・実装・運用の各段階でお金が動くため、潤沢な予算がなければ導入は難しいものと考えられます。

また、工場内などで特殊なプロセスを要する場合、自社にあった自動化のプランを練らなければならず、社員の協力も必要になってくるでしょう。

こういったハードルを超えられれば、AIは人材不足を解消する上で強力な武器になるはずです。

とはいえ、今度はAIを扱える人材が必要になってくるので、別の形でコストを試算する必要があります。

まとめ

以上、登録支援機関を利用する際の費用や、代替案についてご紹介してきました。

登録支援機関に頼らず、特定技能外国人を雇用すること自体は、法的に不可能ではありません。

ただ、所定の条件を満たす必要がありますから、過去に外国人を雇用した経験がない企業は、素直に登録支援機関を頼った方が負担を減らせるでしょう。

Factory labは、製造業で長年培ってきたノウハウをもとに、御社に適した人材を早期に確保・紹介いたします。

登録支援機関の利用に不安をお持ちの経営者の方・企業担当者の方は、まずはご要望からお気軽にご相談ください。

ファクトリーラボ株式会社の代表

代表取締役社長

山本 陽平

1990年東京生まれ。2013年上智大学総合人間科学部卒業後、東証1部上場の資産運用会社に入社しコーポレート部門に配属。2017年、外国人採用支援及び技能実習生の推進をしているスタートアップに参画。事業部長として特定技能、技能実習、技術・人文知識・国際業務の人材紹介や派遣事業の展開及び支援を取り仕切る。人的な課題、採用や定着に大きなペインを抱えた製造業に着目し、一貫したソリューションを提供することを目的として2022年にファクトリーラボを設立し代表に就任。